たまたま見ていたEテレの番組で、武田百合子さんが特集されていました。
グレーテルのかまど、という番組。
毎回、スイーツにまつわるお話とレシピを紹介している番組だそうで、
今夜のテーマは「武田百合子のチョコレートパフェ」でした。
わ!百合子さんだー!ラッキー!と、なんの気なしに見始めたのですが、
ほんとうにじんわり、よい気持ちになれる番組だったのです。
作家、武田泰淳の妻、百合子さん。
まっすぐな目、素直で一途で明るくて、同時にひそやかな暗さもある、
そんな百合子さん自身がそっくりそのまま、飾り気なくすとんとあらわれる文章がわたしも大好きです。
男女問わず周りにもファンが多く、
そういえば、「武田百合子が好きな人とはぜったいに仲良くなれる」と話していた方もいました。
今回の番組では、
チョコレートパフェが百合子さんと泰淳の出会いの象徴的なモチーフとして登場していましたが、
有名な『富士日記』でも、とにかく「食べている」ことが強く残ります。
楽しいときも哀しいときも、食べる。そして「食べている」ひとを、じっと見る。
すっごく天真爛漫な百合子さんだけど、そこに彼女の、強さを感じます。
どんなときでも自分と家族の食べることを真摯に大事にしてきた百合子さんに、
泰淳はきっとずっと、ものすごい力で支えられてきたんだろうなあ。
自分や家族がどんな状態でもちゃんといつものようにごはんを食べる。それってすごいことですよね。
栄養を考えるとかそういうことよりももっと根本的な、
人間の根っこの部分を作ることにつながっているような気がします。
『富士日記』、また読み直したくなりました。
そして、チョコレートパフェがどうしても食べたくなった・・・。
番組の中で、高山なおみさんが作っていたシンプルでレトロなパフェ、おいしそうだったなあ。
牧羊子、森茉莉、森田たま、石井好子などなど、
食べものについての文章を残した女性作家はたくさんいて、そんな方はたいてい好きな作家さんばかり。
現代の作家さんだと、東直子さんやよしもとばななさんの食べもの描写も好きです。
レシピともいえないような森茉莉レシピ
(トマトをバターで炒めてごはんにのせるとか、コーラにはちみつとレモンを入れるとか・・・)は、
あの瀟洒な文章と相まってほんとうにおいしそうで、わたしも何度試したことか・・・。
武田泰淳と武田百合子は食欲と愛情がリンクしていたそうだけど、
食べることってほんとうに、その人の育ちとか性格とかいろんなものが出てしまうからこわい。そして楽しい。
そういえば最近、あまりに食べる姿が美しくてほれぼれと見とれてしまった男性がいたなあ。
まあ目下、
「食べる」といって真っ先に思い浮かぶのは、
むすめの少食偏食遊び食べという、色気もなにもないすごくリアルな悩みなんですけどね・・・。
来週の
グレーテルのかまどは、「アメリのクレームブリュレ」だそう。
夏休みのため再放送だそうです。
楽しみ楽しみ。アメリも大好き。