町家古本はんのき
3周年記念セール3日目が終わりました。
連日、ありがたいことにふだんよりたくさんのお客さんが来てくれていています。
はんのきは今日も、12時から19時まで営業しています。どうぞよろしくお願いいたします。
毎日古本の海(?)を眺めていると、どうしても手がとまってしまう作家さん、というのがいます。
そのひとりが、有吉佐和子さん。
とにかく仕事をこなした作家さんで、直球で公害問題や介護をテーマにした社会派の小説、
師弟関係、ライバル、血縁、家柄、お金がどろどろの伝統文化の世界を描いた小説など、
たくさんの作品を残しています。
映像化された作品も多く、今でもときどきドラマ化されたりするので、知っている人は多いと思います。
最近では沢尻エリカの「悪女について」がありましたネ・・・。初版当時も、初山滋、佐野繁次郎、猪熊弦一郎など、名だたる装丁家が手がける洒落た装丁の本が多いことからも、
その人気ぶりがうかがえます。
ついついその目をひくテーマに注目されがちですが、なんといっても好きなのは、登場するパワフルな女子!
それも自分の仕事を持った女子、社会でたたかう女子なのです。
はなめがね本舗でも、これまで何冊も販売してきました。
東京のデパートで働く女の子たちを描いた『閉店時間』では、
不倫の恋に悩みながらも強く生きる女の子、仕事と同僚の男性との微妙な関係に悩む女の子、
結婚と仕事の選択を迫られる女の子・・・など、今のわたしたちとなにも変わらない女子たちが登場します。
有吉佐和子ならではのスピード感のあるスリリングな展開、それぞれがこたえを見つける衝撃のラスト・・・
タイプの違う女の子たちみんなに共感し、応援したくなります。
佐野繁次郎さんの装丁、そしてタイトルもなんともいえずお洒落な『げいしゃわるつ・いたりあの』。
とっても小気味よくてかっこいい芸者さんが登場する退屈しらずの作品です。
それからそういえばこれは、わたしが小学生のときに、夏休みの指定図書でもありました・・・。『非色』。
初版のモノトーンの装丁は、日本初のオートクチュールデザイナーであり、数々のファッション誌でも活躍した
中林洋子さんによるもの。
人種問題を扱った作品ですが、これもぜひ、そこで生きる女子たちに注目してほしい。
転んでもただでは起きない、現代に通じる日本の女の子の魅力が凝縮されています。
ラストの爽快感といったらないですヨ!大好きな作品です。
こちらは文庫本などでも読むことができます。
上質なお洋服みたいに、シックなこの版で、出来たら手にとってほしいけれど・・・。
同じく中林洋子さん装丁の『仮縫』。ツイードです・・・!!
これは、山の手の高級オート・クチュールを舞台に繰り広げられる、美しくて気高い女たちを描いたもの。
トップに上りつめるまでの女のしたたかさと大胆さ、傲慢さ、豪奢なファッションの世界、そして衝撃のどんでん返し・・・。
本格的に有吉佐和子が好きになる、きっかけとなった一冊です。映画化もされているそうです。
ちなみにはなめがねでも買えます。。
→はなめがね本舗『仮縫』はコチラ。
いつの時代も、女の子は元気で強くてしたたかで、それがとってもかわいい。
有吉佐和子さんの本は、ちょっと疲れたときにぜひ、読んでほしい作品ばかりです。